皆さんこんにちは。
売上UP・利益UP 請負人
社外の経営参謀
トップギヤコンサルティングの沼尻洋壱です。
小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>という補助金があります。
こちら、現在第3回の申請受付中で、締め切りは9月8日です。現時点ではその後約2ヵ月ごとに募集があり第6回まで実施される予定です。
事業者さんの中には、この補助金を狙っている方も多いと思います。
私自身も、補助金の相談窓口などで申請書の添削などをさせていただく機会が多くて、色々な事業者さんが作成された申請書を拝見しています。
この補助金は「今までこのような補助金を申請したことなくて、初挑戦なんです」という方もかなり多いです。
そのためか、その作成された申請書の内容は、申し訳ないですがいささか内容が薄いものが多く、残念ながらそのままではまず通らないだろうと思われるものばかりでした。
まず考えなければならないのは、他の一般的は「助成金」や「給付金」と言われるものと異なり、この「補助金」というものは、必要事項を書いて提出すればお金を必ずもらえるというものではなく、提出された書類は審査がされて、そこに書かれた計画が審査員に伝わらなければ不採択となり補助金は出ない、というものだということです。
ちなみに採択率は募集回により異なりますが、おおむね3割から4割です。ようするに約6割から7割の応募者は採択されずに補助金は出ないのです。
よって、申請書に最低限のことをパラパラと記載するのではなく、自社のことから今回やろうとしていることまで順を追ってしっかりと記載した事業計画を書く必要があるのです。
そこで、提出する書類について、ここまで申請する際に提出する書類なので申請書と書きましたが、補助事業をどのように行うのかという計画を書く書面なので、ここからその申請書は事業計画書と呼びます。
前置きが長くなりましたが、今回はこの事業計画書を書く場合に考えなければいけないポイントについて、ご案内したいと思います。
①<低感染リスク型ビジネス枠>の事業を考える場合の大前提
小規模事業者持続化補助金では、基本形として<一般型>をいうモデルがあります。<低感染リスク型ビジネス枠>の方が補助金の上限額も大きくお得感があるので、それだけでこちらを申請したいと考える事業者さんが多いのですが、まずは<一般型>と<低感染リスク型ビジネス枠>の違いを考えなければいけません。
<一般型>と<低感染リスク型ビジネス枠>の違い
ようするに自社Webサイトを作る、ECサイトを作るという取組みから、新たな新商品、新サービスを行うために設備を導入するといった取組みまで、それが新たな販路開拓につながる取組みであるとなれば、採択される可能性があるということです。
ところが<低感染リスク型ビジネス枠>ではそんな単純な話ではありません。
<低感染リスク型ビジネス枠>では「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のための対人接触機会の減少につながる取組み」で、なおかつ「ポストコロナを踏まえた新たなビジネスやサービスに関する取組み」である必要があります。
<低感染リスク型ビジネス枠>で応募する場合に考えること
そして、既存のビジネスで対人接触の機会を減らすのではなく、新たなビジネスとして新たな商品の取扱いや、新たなサービスの提供方法など考えなければなりません。
いま、貴社でこの補助金を使って費用の一部を負担してもらおうと考えていた場合、これらの条件をクリアする必要があります。
また、事業計画書において、この対人接触の機会を減らすという部分を強調して記載しなければなりません。どんなに新しいことを始める内容でも、対人接触の機会を減らすという部分を伝えなければ、その計画は通らないということです。
②事業計画書を書く場合に考えること
その考え方についてお話します。
見ず知らずの投資家がいると考えます
その貴社に投資してくれるかもしれない投資家は、貴社のことを全く知りません。
ようするに、貴社のことを全く知らない投資家が目の前にいて、その投資家に事業資金の一部を投資してもらおう、と考えた場合に、その投資家にあなたはどのような話をしますか?ということです。
投資家に投資してもらうために(<経営計画>について)
「おたくは何をやっている会社なの?」
という質問から入るでしょう。
あなたは、投資家に対して自分の会社はどういった事業をしていて、市場ではどのくらい売れていて、今の自社はどのような状況なのか、そして投資家に信頼されるためにも先々はどのように事業を行っていきたいのか、経営方針や先々の目標なども語るでしょう。
つまり、その貴社のことを全く知らない投資家に対し、自社を知ってもらうために色々と語るであろう内容を事業計画書に記載していくのです。
例えば飲食店ならば、自分が何屋で、どのようなメニューがあり、売れ筋は何なのか。単価はいくらくらいで、どのくらい売れているのか。社長は自分で店を持つ前はどこで修業していたことがあるのか。商圏として近隣に駅があるのか、オフィス街なのか。
そして、先々どのように事業を展開していきたいのか等々。
貴社のことを全く知らない投資家に対して、投資をしてもらうために自分の会社のことを話すような、そんな気持ちで事業計画書の<経営計画>の項目に自社の説明を記載していくのです。
投資家に投資してもらうために(<補助事業計画>について)
見ず知らずの投資家に資金の一部を負担してもらおうと考えたら、新たにどのようなことをやろうとしているのか。それはどのように宣伝して、どのくらいの顧客が見込めるのか。誰がそれを担当して、どのようなスケジュールで進めていくのか。
きっと、熱く語ると思います。
それを事業計画書に順番に書いていくのです。
新たに今回やろうとしているビジネスについては申請用紙の<補助事業計画>の項目に書いていきます。
そして、投資家は投資するからにはリターンを考えます。慈善事業でお金をプレゼントするわけではありません。
そのような投資家を納得させるためには、この新しいビジネスを実施した場合、どのような効果が見込めるのかを語らなければ、投資家も出資はしてくれません。
よって、まずはどのような売上を見込んでいるのか。売上は客数×客単価で表せますから、客数は○○人、単価は○○円なので、○○円の売上を計画している、と考える必要があります。もちろん、夢や希望だけでは投資家は出資してくれませんから、これらの数値は算出根拠も考えましょう。
これらの内容を、補助事業の効果として事業計画書に記載するのです。
もちろん、事業計画書に書く場合は、感染拡大防止の取組みである、という点を強調することを忘れてはいけません。
③事業計画書は審査員が審査するもの
それは、補助金はすべて、提出された書面を審査する審査員がいて、審査員が点数付けをして評価されるものだということです。
ようするに、先に書いた投資家にあたる部分が審査員に該当するということです。
そして、審査員は審査員個々人のフィーリングで事業計画書の良し悪しを判断しているというわけではありません。
明確な採点基準があり、それに合わせて採点しているはずです。
そうしないと、点数をつける審査員の見解により点数がバラバラになり、採択されるもされないも担当した審査員次第ということになってしまします。
では、その採点基準は何なのか?
この<低感染リスク型ビジネス枠>では、専用サイトからダウンロードできる申請書(様式1)のフォーマットに黄色い色付けがされて、記載すべき項目が列記されています。
これこそが審査員が確認する項目だということです。
例えば<経営計画>の1.自社の事業概要の項目には
「自社の概要や経営状況、課題、特徴、自らが製造・販売・提供している商品・サービスの内容や市場動向等について記載してください。また、自社の経営方針・目標についても記載してください。」
と書かれています。
つまり、これらの項目についてそれぞれ記載されていれば点数が入り、記載が無ければその項目については0点だということです。
冒頭に書いた通り、私は色々な事業者さんが作成した事業計画書を拝見する機会があるのですが、これらの項目について抜け漏れが多いです。
例えば上記の1.自社の事業概要 の項目では、自社の概要や自らが製造・販売・提供している商品・サービスについての内容の記載はあっても、ほぼそれで満足してしまうのか自社の経営状況(例えば近年の売上など)や自社の課題、特徴(自社の強みなど)などは書かれていないし、市場動向などはほとんどの事業計画書で書かれていませんでした。
また、自社の経営方針・目標についても記載しろと書かれているにも関わらず、これも書かれていません。
これでは、審査員も点数を入れようがないです。
逆に、申請書フォーマットにわざわざご丁寧に審査員側が記載してほしい項目が書かれているのだから、これらの項目を一つずつ拾って、【市場動向について】などの小見出しを付けて順番に記載していけば良いのです。
<補助事業計画>の項目では、「2.補助事業の内容」の部分で実施体制(誰が担当者として進めていくか)、スケジュールの部分の記載が無い事業計画書が多いです。
また、「3.補助事業の効果」の部分では、自社の経営に与える効果について、と指定があるので、補助事業を行った場合の経営に与える効果としては、やはり売上がどのくらい上がるのか、という内容は外せないでしょう。
事業計画書を作成する場合は、これらの項目に対する答えを順番に書いていく、ということを意識するだけでも、審査員が要求するレベルを十分にクリアした事業計画書が作成できると思います。
補助金の事業計画書(申請書)には一体何を書けば良いのだろう、とお悩みの事業者さんは多いです。
しかしながら、この事業計画書の作成にはお作法があります。上記の内容をご確認いただき、1つずつ項目を記載していけば、決して難しいものではありません。
ぜひ、トライしてみてください。
当方では補助金申請に関するサポートをしています。
実務に関しては有償ですが、個別相談は1度のみ無償で受け付けています。
ご相談、お問い合わせなどございましたら、当方のWebサイトよりお気軽にご相談ください。
参照動画:小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>初心者向け 申請書 書き方のポイントについて・その1
参照動画:小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>初心者向け 申請書 書き方のポイントについて・その2(9月1日公開予定)