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ある女性が創業融資を受ける際に夫の経営する会社の決算書が必要だった話

ある女性が創業融資を受ける際に夫の経営する会社の決算書が必要だった話

こんにちは。
社外の経営参謀、トップギヤコンサルティングの沼尻洋壱です。

先日ある女性の創業者からこんなことを質問されました。

「金融機関に創業融資を申し込みに行ったところ夫が経営している会社の決算書をあわせて提出するよう求められました。夫は出すのを嫌がっています。どうしても提出しなければいけませんか?」

金融機関から提出を求められているのであれば、その答えはYESです。
しかしながら、回避できるケースもあります。

詳しくお話ししましょう。

1、夫の会社=「関連会社」と見なされる傾向あり

まず金融機関が夫の会社の決算書の提出を求めるのには理由があります。
それは、「創業融資で貸した資金が夫の会社に流出するのを警戒するから」です。

事業を行う夫のいる妻が創業する場合、金融機関は夫の会社を「関連会社」と見なす傾向が強いものです。

夫の会社の財務内容が悪く金融機関から融資をしてもらえない場合、妻に創業させて創業融資による資金調達を行い、その資金を夫の会社に流用するケースがしばしば見られるのです。

2、金融機関は「資金使途違反」をとても嫌がる

創業融資で妻に貸した資金が夫の別会社に流出すると、それは「資金使途違反」になります。

金融機関は「資金使途違反」をたいへん嫌がります、
それを避けるために関連会社の可能性がある場合は融資に慎重になります。

夫の会社の財務状況が悪いと「資金使途違反」が発生する確率が高くなるので、金融機関としては関連会社(の可能性がある会社)の財務内容を知っておきたいということになります。
そのために、夫の会社の財務内容を把握しようとするのです。

もし夫の会社の財務内容が悪ければ、金融機関は創業融資を断ることが多いと考えていいでしょう。

3、夫の会社の決算書の提出を避けるためには

夫の会社の決算書の提出を求められた場合、提出しなければ基本的に融資審査のテーブルにのせてもらえないと考えましょう。

ちなみに夫の会社の決算書の内容がよければ、その決算書を提出することで創業融資の審査で有利に働きます。
一方、決算書の内容が悪い場合は先述のとおり、提出することで創業融資を断られる可能性が高くなります。

どうしても提出を避けたいときは、以下の対策を講じてみてください。

①夫の事業と自分の事業は関連がないことを最初に説明しておく
②夫の事業を行っている住所と自分が事業を行う住所は別にしておく
③創業資金に必要な根拠(設備資金の場合は見積書、運転資金の場合は資金繰り表)を用意して、しっかりと説明できるようにしておく
④夫の会社の役員にはならない(なっていた場合は退任しておく)
⑤金融機関に対して、夫の会社の決算書の提出が必要な理由を尋ねておく

4、「提出したくない」と主張してもムダ?

前項の⑤に記述したように、金融機関に対して理由を尋ね、合理的な根拠がない場合は提出せずにすむことはあります。

とりあえず、
「お互い独立したビジネスをしているのに、なぜ夫の会社の決算書を提出しなければならないのでしょうか?納得できません。納得できる理由を教えてください。」
と質問してみましょう。
ごくまれに、夫の会社の決算書をもらうということが何となくいつもの流れになっているから、ということもあるかもしれません。

しかしながら、金融機関によってはそれがルール化されている場合があります。
「弊社が審査をする際のルールですから」と言われてしまうと、提出を断っても融資に応じてくれないだけになります。

金融機関は「関連がある(と思われる)企業の決算書を出さないのは、何か後ろめたい理由があるのでは」と考えがちです。
決算書の提出を拒めば、融資審査に応じない事態になることは十分ありえるでしょう。

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夫が事業を営む女性が創業融資を申し込む場合は、先に前項②~④を行ってから申し込むようにしましょう。

金融機関は、金融機関特有の考え方に基づいて融資審査を行います。
一般的な考えでは納得しにくいことや、納得できないこともありますが、それが「金融機関業界のルール」ならひっくり返すことはできません。

大事なことは「金融機関特有の考え方」を把握し、それに沿った形で自分の希望を伝えたり実現してもらいやすく交渉したりすることです。

うまくつきあっていけたら、こちらの条件が先方の希望どおり100%整わなくても、融資してもらえることもあります。

当社では金融機関との上手い付き合い方のアドバイスや、資金調達のサポートもしています。
相談初回1時間無料でお話を伺いますので、ご不明な点やご相談がございましたら当方のWebサイトお問い合わせページよりお問い合わせください。

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