BLOG ブログ

2023年4月から「経営者保証」がいらなくなるかもしれません

2023年4月から「経営者保証」がいらなくなるかもしれません

こんにちは。

社外の経営参謀、トップギヤコンサルティングの沼尻洋壱です。

2022年11月1日に金融庁から報道資料が公表されました。

「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)の公表について

今回の改正案は画期的です。

従来、従来中小企業が金融機関からお金を借りる場合は、経営者の個人保証、つまり「経営者保証」を付けることが一般的でした。
しかしながら、今回の金融庁から金融機関向けに発行された通知によると、金融機関が経営者に対し「経営者保証」を付けることに対して制限を設けなさい、という指示が出ました。つまり、2023年4月からは、「経営者保証」が不要となる企業が今までより増える可能性が高くなったということです。

今回は、この改正における「経営者保証」に関する部分についてご案内します。

今後、金融機関からの資金調達を考える際には知っておくべき情報です。

1、個人保証を求めるとき金融機関は説明義務を課せられる

現行では、金融機関が経営者の個人保証を求める際、
「必要に応じ、保証人から説明を受けた旨の確認を行うこととしているか」
と確認のみを行えばよいことになっています。

しかし改正案においては、
「保証人に対し説明をした旨を確認し、その結果等を書面又は電子的方法で記録することとしているか」
と、確認した内容を記録し、金融庁に報告しなければならなくなりました。

これにより、今後金融機関にとっては、経営者に対して個人保証を付ける際の手続きがかなり煩雑になります。

2、個人保証を徴求する際の理由の説明

現行では
「経営者等との間で保証契約を締結する場合には、「経営者保証に関するガイドライン」に基づき、以下の点について、主債務者と保証人に対して丁寧かつ具体的に説明を行うこととしているか」
と金融機関は「保証契約の必要性」についての説明を行うだけでよい、ということになっています。

一方で改正案では
「どの部分が十分ではないために保証契約が必要となるのか、個別具体の内容」と「どのような改善を図れば保証契約の変更・解除の可能性が高まるか、個別具体の内容」についての説明を行わなければならなくなりました。

「経営者保証に関するガイドライン」というものをクリアしていれば、現行でも本来ならば経営者保証無しでお金を借りることが出来ることになっているのです。
(「経営者保証に関するガイドライン」については、後程4、にて説明します)
ところが実際には、この「経営者保証に関するガイドライン」の内容をクリアしているはずの中小企業に対しても、黙っていると当然のように経営者保証を付けてくる金融機関は珍しくありません。

しかしながら、今回の改正案により、金融機関側が説明もなく慣例により経営者保証を付けてしまう、といったことが無くなります。
つまり、今回の改正案では、「経営者保証に関するガイドライン」の内容をクリアしているのにもかかわらず、金融機関が経営者保証を付ける場合は、保証人が納得できる「合理的かつ具体的な説明」を行わなければならなくなるということです。
その説明ができない場合、金融機関は経営者保証を付けることが出来なくなります。

また、「合理的かつ具体的な説明」を行い、経営者保証を付ける場合でも、「どうすれば経営者保証を解除することができるのか」について、金融機関は具体的な説明を行わなければならなくなります。

つまり、その「経営者保証に関するガイドライン」の基準をクリアすれば、企業は経営者保証の解除を請求できることになります。

3、2011年には「第三者保証」が原則禁止となった

2011年にも「信用保証」について金融庁は監督指針を改正しました。
そのときは、経営者以外の保証を求める「第三者保証」を原則禁止したのです。

「第三者保証」というのは、金融機関からお金を借りる場合に、経営者に対する「経営者保証」と併せて、経営者以外の第三者に対して連帯保証人を付けるものです。

この「第三者保証」つまり第三者の連帯保証人を付けることを原則禁止にしたことで、結果として金融機関による「第三者保証」を付けるようにという要求は激減しました。

金融庁は金融機関に対し、「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」に基づいた監督・指導を行っています。
地方銀行以下の金融機関は、その内容の遵守が求められています。
そして違反すると、金融庁から「業務改善」を求められます。
これは金融機関にとって、かなり面倒なことです。
そのため、できる限り金融庁の監督・指導に沿うよう日々の業務を進めています。

当時と同様の大きな変化が、今回も起きるのではないかと期待しています。
すなわち、
「経営者保証が求められる企業の大幅減少」
です。

4、「経営者保証に関するガイドライン」について

そのようなわけで、2023年4月からは「経営者保証に関するガイドライン」の要件をクリアしている企業は、「経営者保証なし」で融資を受けられるようになると思われます。

ここで、経営者保証に関するガイドラインの要件は以下の3点です。
① 資産の所有やお金のやりとりに関して、法人と経営者が明確に区分・分離されている
② 財務基盤が強化されており、法人のみの資産や収益力で返済が可能である
③ 金融機関に対し、適時適切に財務情報が開示されている

中小企業庁のサイトには、「経営者保証に関するガイドライン」をはじめ「経営者保証」について解説したページがあります。
詳細は以下のリンクをご参照ください。

●経営者保証について(中小企業庁Webサイト)

―――――――――――――――――――

今後新規事業を始める考えがある、事業規模を大きくする予定がある等々で、新たに金融機関から資金調達をする予定がある事業者は、この2023年4月から変わる制度について、ぜひ理解して「経営者保証」無しで資金調達出来るようにしましょう。

この記事の内容については動画でもご紹介しておりますので、下記のリンクより併せてご確認ください。


当社では金融機関との上手い付き合い方のアドバイスや、資金調達のサポートもしています。
相談初回1時間無料でお話を伺いますので、ご不明な点やご相談がございましたら、このWebサイトのお問い合わせページよりお問い合わせください。

●YouTube沼尻レポート「ぬまレポ」デジタル版 金融機関で資金調達をする際に経営者保証がいらなくなる?かもしれません

CONTACT
お問い合わせ

ご依頼やお問い合わせは、
以下のフォームより承ります。
皆様、お気軽にご連絡ください。